ブラックSEが考える「良い」株式売買②:安定性、リスク
前回の記事にて「良い」取引をリターン効率という観点で見ていきました。
本記事は前回のちょっとした振り返りと、
リターン効率以外の要素についてまとめていきたいと思います。
前記事の振り返り
「良い」取引の要素として下記3要素を紹介させていただきました。
- リターン効率
- 安定性、リスク
- コスト
前記事ではリターン効率を考える場合、
投資した資産に対するリターン(利益)の割合を見るのがシンプルで、
リターン金額/投資金額という計算で算出できるという紹介をしました。
そして、年間のリターン効率を見ていくと、
みんかぶでリターントップを見るとまさかの150%弱、
逆に凄く効率が良さそうな海外ファンドでも1年辺りのリターン率は1%強、
数字だけで見るとそこまですごくなさそうに見える...
という話だったかと思います。
ただ、少し補足すると、
みんかぶでリターン率トップのファンドは昨今の株高の影響を受けている一方で
海外ファンドは数10年の運用によるリターン効率を1年辺りに均した数字のため
単純比較できるものではありません。
市場全体が下落している時も含めての計算で
1年辺り1%以上の運用益を続けている、というのはやはり凄いことだと思います。
この記事のメインにも繋がりますが、
「良い」取引はリターン効率だけではやはり語ることができません。
「良い」取引の要素②
2. 安定性、リスク
2-1. 為替の影響
取引の安定性やリスクを見る上で、
気にした方がいいのは為替の影響です。
海外の株式や海外通貨での取引の場合、特に為替の影響を特に受けます。
例えば、1ドル100円の時にアップルの株を買ったとします。
2021/2/18の16時だと、130.84ドルするようなので、13,084円必要です。
これが、為替に変動があり、1ドル120円の円安になったとしましょう。
そのタイミングで売るとなると、15,700.8円となり、何もしていなくとも
2,616.8円のリターンを得ることになります。
(実際にはここから税金や手数料が減算されるでしょうが...)
上記の場合は利益を手にしますが、
逆の円高になった場合は何もしなくとも損失を被ることになります。
みんかぶでも為替と連動するファンドがあり、
そういった銘柄は実際の値段変動に加えて為替変動も取り込むため、
値動きする幅が広くなっています。
つまり、収益が高くなるかもしれませんが
損失も大きくなるかもしれない、ということです。
2-2. 為替ヘッジについて
為替の影響は大きく、そして予想も難しいという問題があります。
そのため、仮に自分が予想する方向と違う動きがあったとしても
損失を減らす保険をかけておきます、それが為替ヘッジです。
例えるならば、自動車に乗る時に、
ケガや損害賠償など影響が大きく起きるかどうか予想が難しい事故に対して
自動車保険をかけるようなものです。
勿論、損失を完全にゼロにできるわけではないので、
(保険を掛ける訳ですから、保険料、かかりますよね....)
あくまで保険、過信は禁物。
でもあるのとないのでは、大きな違いがある....かも。
ヘッジについて、興味があれば下記ページを見てみてください。
メリットデメリットが分かりやすくまとめられています。
2.3 安定性を図る指標
複数の株式売買が基本で、運用期間がある程度ある場合、
シャープレイシオという指標で安定性を見ることができます。
シャープレイシオというのは下記で計算することができます。
(収益率(利益/元手の投資金額) - 無リスク資産の収益率)÷ 収益率の標準偏差
一般的には1を超えていると良いとされます。
よく使われる指標で、みんかぶでもランキングページがあります。
こちらをみると、2021/2/18時点で1位は下記銘柄の13.45。怪物ですね。
あい・パワーファンド:基準価格・チャート投資信託 - みんかぶ投信
計算式の内訳ですが、
収益率はほぼ前記事で触れたリターン効率と同義です。
元手が無くなりにくいリスクが低いものを指します。
リターン効率からこの無リスク資産を減算するのは、
自身の取引のリターン効率から市場全体の景気による影響を除いて、
自身の腕の良さを数値で表すために実施します。
昨今は日銀のマイナス金利政策もあり、銀行の金利もほぼゼロなので、
簡易計算する場合は無リスク資産の収益率はゼロとして減算しないのもアリです。
自身の腕の良さを表した数値を標準偏差で割るのですが、
そのことにより、安定度を示す指標を作ることができます。
標準偏差は数値が大きければ大きいほど、バラつきがあることを示します。
(つまり、収益が多い時もあれば、損失が多い時もある)
仮に標準偏差が0.5で、平均収益率が110%(=1.1)の場合、
だいたい、シャープレイシオは2.2となり、かなり安定している、と言えます。
そして、3回投資すれば約2回は60%~160%の間に収益率が収まる、
ということが過去の実績から予想できる、ということです。
この指標は良く使われ、
株式売買あるあるのコツコツドカン(少額の利益を積み重ねた後に暴落で損する)が
発生すると著しく指標値が悪くなるので、
売買回数が多い人ほど指標を監視することで、
より良い取引を続けることにつなげられると思います。
ただ、コツコツたまに大儲け、という良いパターンでも指標値が悪くなるので
完全に信用しすぎると痛い目に合うからあくまで参考程度がいいです。
2-x. 安定行動大好き人間(横道外れた雑談です...)
前の記事にて
③1万円で10万を稼げるものの、20%の確率で元金1万円がなくなる、
という取引になった場合、②と③のどちらの方が「良い」取引なのでしょうか。
なんてことを書きましたが、
元金がなくなる、というのは多くの人にとって非常に怖いものだと思います。
人はリスクを避け、安定を求める傾向があり、
行動経済学でもプロスペクト理論というものが発表されています。
確率が決まっていて、期待上は損だとわかっていても
安定方向に行動しがち、なんてことが約70年前から言われていました。
参考:アレのパラドクス
今回はここまで。
次回はコストについて書いていきたいと思います。
気が向いたら株価のボリバンとかの指標についても書いていきたいな、と....
(安定度の記事をまとめている時に、RSIやボリバンもある意味リスク管理か、と思って)
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